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マルチクラウド・データベース戦略:メリットと注意点、管理のポイント Aug 14, 2026 by Robert Gravelle

クラウドデータベースの経済性では、AWS、Azure、Google Cloud Platform(GCP)にデータベースのワークロードを分散することで得られる経済的なメリットについて解説しました。具体的には、コスト削減につながる要因、ベンダーロックインを避けることが経済的にも重要である理由、そして、適切に管理しなければ、データ転送(エグレス)料金や運用負荷によって、コスト削減の効果が知らないうちに相殺されてしまうことを取り上げています。前回の記事では、マルチクラウドは必ずしもすべてのケースに適した方法ではなく、状況に応じて選択できる有効な戦略であることを説明しました。また、複数のクラウド環境が意図せず増えていくのを放置するのではなく、適切に管理することで初めて、そのメリットを活かせることについても解説しました。

本記事では、その続きとして、実際の運用について取り上げます。経済的なメリットがあるとして、次に問題となるのは、複数のクラウドにまたがるデータベース環境を、複雑さによってコスト削減の効果を失うことなく、日々どのように管理・運用するかという点です。現在では、複数のクラウドプロバイダーにまたがってデータベースを運用する組織が増えています。特に、AWS、Azure、Google Cloud Platform(GCP)を同時に利用するケースも珍しくありません。こうした環境が、あえて意図的に構築される場合もあります。例えば、障害が発生した場合にもサービスを継続できるよう、複数のクラウドを利用するケースです。一方で、意図的に計画したわけではなく、各チームがそれぞれ異なるクラウドを利用していくうちに、結果としてマルチクラウドになっているケースの方が多くあります。例えば、あるチームはプロジェクトでAWS RDSを標準として採用し、別のチームは新しいアプリケーションにAzure SQL Databaseを導入し、データサイエンス部門は利用しているツールとの連携を考えてBigQueryやCloud SQLを採用する、といったケースです。マルチクラウドになった経緯がどうであれ、結果として生じる問題は同じです。データベースを管理するために、3つの異なる管理画面、3つの異なる料金体系、そしてそれぞれ異なる運用方法に対応しなければならなくなります。

なぜ企業はマルチクラウドを選ぶのか

企業がマルチクラウドを選ぶのには、それぞれ理由があります。代表的な理由の一つが、ベンダーロックインを避けることです。複数のクラウドプロバイダーにワークロードを分散することで、特定の1社の料金変更やサービス障害に左右されにくくなります。法規制やデータレジデンシー(データをどこに保存するかに関する要件)によって、特定のクラウドプロバイダーの特定の地域にデータやワークロードを配置する必要がある場合もあります。企業の合併や買収(M&A)をきっかけに、買収した企業がもともと利用していた別のクラウドやITインフラを引き継ぐこともあります。さらに、単純に、それぞれのクラウドが持つ強みを活かすために使い分けるケースもあります。例えば、Azureは企業向けのMicrosoft製品との連携、GCPはデータ分析や機械学習、AWSはマネージドデータベースの選択肢の豊富さに強みがあります。

マルチクラウドの分断がもたらす本当のコスト

マルチクラウドには確かなメリットがあります。しかし、その一方でコストも発生し、その負担は主に3つのところに現れます。

  • 運用負荷(Operational overhead)- クラウドプロバイダーごとに管理コンソールやCLIの構文が異なり、バックアップ、レプリケーション、スケーリングの扱い方にもそれぞれ独自の違いがあります。そのため、同じような日常業務であっても、エンジニアはクラウドごとに異なる画面や操作方法を使い分ける必要があります。その積み重ねが、チーム全体の運用負荷を増やしていきます。
  • 情報の分散(Inconsistent visibility)- データベースのパフォーマンス情報、クエリログ、スキーマのドキュメントがクラウドごとに別々の場所に保存されていると、データベース環境全体の状況を一目で把握することができません。そのため、最終的にはスプレッドシートなどに情報を手作業でまとめる必要があり、ミスも起こりやすくなります。
  • スキルとツールの重複(Skill and tooling duplication)- 複数のクラウドを利用する場合、それぞれのクラウドプロバイダーの製品や操作方法に詳しい人材が必要になります。また、目的は同じ作業でも、クラウドごとに実装方法が異なるため、それぞれに合わせたスクリプトや作業手順を別々に用意しなければならないこともあります。

これらのコストは、一つひとつを見ればマルチクラウドを断念するほどの問題ではありません。しかし、こうした負担が積み重なると、マルチクラウドを採用するそもそもの理由だったコスト面や柔軟性のメリットが、次第に打ち消されてしまいます。

統合された管理環境でマルチクラウドの複雑さを解消する

こうした問題に共通する原因は、管理や情報が分断されていることです。現実的な解決策は、それぞれのクラウドの管理コンソールを置き換えるのではなく、複数のクラウドをまとめて管理できる仕組みを、その上に設けることです。こうしたマルチクラウド戦略を支えるツールとして、Navicat Premium のような製品があります。

Navicat Premiumでは、主要3社のクラウドプロバイダーであるAWS、Azure、GCPのデータベースに、1つのアプリケーションから接続できます。AWSではAmazon RDS、Aurora、Redshift、AzureではAzure SQL DatabaseやAzure Cosmos DB for MongoDB、GCPではGoogle Cloud SQLなど、各クラウドのさまざまなデータベースに対応しています。さらに、オンプレミス環境のMySQL、PostgreSQL、SQL Server、Oracle、MongoDBなど、さまざまなデータベースに接続できます。SSHトンネリング、HTTP/HTTPSトンネリング、SSLなどを利用して、安全な接続を確立できます。データベースがどのクラウドでホストされているかにかかわらず、これらの接続方式を利用できます。

マルチクラウド環境でNavicatを利用するメリットは、対応するデータベースの種類が豊富なことだけではありません。どのクラウドを利用していても、同じような画面や操作方法で作業できることが大きなメリットです。データベース管理者(DBA)は、SQLクエリの作成、スキーマの比較、データの同期などを行う際に、クラウドプロバイダーが変わるたびに操作方法を覚え直す必要がありません。AWS、Azure、GCPのどのデータベースを扱う場合でも、インターフェース、クエリエディター、オブジェクトデザイナーを同じように利用できます。また、Navicatでは、接続プロファイル、モデル、保存済みのクエリをクラウド上のコラボレーションサービスに同期し、チームで共有できます。複数のクラウドにまたがって作業するチームでも、メンバーが同じ設定を共有できるため、それぞれが設定を一から作り直す必要がありません。

無理なく始める

前述したような統合管理の仕組みは、既存のデータベースを移行することなく導入できます。現在のデータベース環境をそのまま接続して、一つのインターフェースから管理できることにメリットがあります。まずは、各クラウドプロバイダーでどのデータベースを利用しているのかを整理することから始めるのがよいでしょう。そのうえで、これらのデータベースを1つの管理ツールから利用できるようにし、日常的なクエリの実行や監視、スキーマ比較などを行います。クラウド間のデータ同期や災害復旧計画といった、より複雑な課題については、その後に取り組めば十分です。

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